遺言活用のポイント
遺言書は、上手に活用することで、後々大変大きな効力を発揮します。私たち、相続遺言のプロであっても、遺言の効力を後になってから実感する事が非常に多くあります。それほど、遺言は非常に強い効力を持ちます。
最近の事例をもとに、いくつかご紹介させていただきます。
遺言に、遺産分割が指定されていた為、相続財産がほとんど受け取れなかった
大輔さん(仮名)は2人兄弟の次男でしたが、両親が花子さん(仮名)を小さい頃に養子にしており、兄弟3人で育ちました。その後、時は流れ、お父様が亡くなり、そして先月お母様が亡くなり、3,000万くらいの土地建物と預金が1,500万くらい残ったので、遺産相続になると考えていました。
葬儀から10日ほど経つと、母と同居して看病をしていた花子さんから突然、連絡がありました。 遺言が出てきたので、遺言の執行を遺言に書かれている行政書士に任せたというのです。
遺言があったことも、驚きでしたが、最後まで母の看病をしていた花子さんから遺言の話が 出てきたことに少しだけ不信感を持ちました。
母の遺言は公正証書で作成されており、その内容によると、母の土地建物は花子さんに、 葬祭費用などは残った預貯金から支払い、その残金の70%を花子さんに、残りの30%を 兄弟二人で分けるようにとの事でした。
これによって、養子である花子が1,000万と、私たちが生まれ育った家(土地・建物)を相続し、 実の子である私たちが200万ずつのみ。兄弟3人で、仲良くやってきたものの、晩年の母の 看病を2年ほど見てもらっただけで、こんな結果になってしまうなんて・・・ と、相続相談センターに来られました。
<結果> 遺留分の請求をするにも、調停をしていくにも、弁護士を立てる必要があること、その場合最低50~100万円の お金がかかると伝えると、大輔さんは、兄弟でもめるのも嫌なので、遺言に従うという決断を されました。 花子さんの立場に立って考えると、2年間母と同居して看病をしてきた苦労が報われたい という思いや、遺産分割によって同居してきた家を売却して分けることになってしまうかも という不安があったのかもしれません。
この事例によって、皆さんが、大輔さんの立場でも、花子さんの立場でも、遺言によって 大きな力が働いてしまうことがご理解いただけるのではないでしょうか。
素早く遺言を作らなかった為、入院している推定被相続人が亡くなってしまった
孝之さん(仮名)が、遺言の相談に来られました。
たまたま長い間、看病をしてきた義理の母、マサさん(仮名)から、病室で遺言を作成した ので、取りに来て欲しいと言われて、慌てて行ってみると、6000万ほどある財産を、 一番面倒を見てくれた孝之さんに渡したいという内容の遺言でした。
マサさんは夫に先立たれており、子が3人いましたが、子の1人である私の妻は昨年末に、 病気で亡くなってました。 よって、実質的に相続人は、マサさんの2人の子がなる予定でした。
しかし、残りの2人の子は、両方とも遠方にすんでおり、最近は音信不通で疎遠なので、妻の 死後も看病をしてくれた孝之さんにすべてを渡したいということで、自筆遺言を孝之さんに手渡して 来たという流れでした。
孝之さんは、いろいろ分からない事だらけなので、相続相談センターに来られました。
司法書士と共に遺言を拝見させていただいたところ、残念ながらその自筆証書遺言は 法的な形式を満たしておらず、無効なものでした。そこで、当センターとしては、公証人の 先生を手配して、病院でも遺言は可能なので、すぐに遺言を確かな効力あるものに作り直す ことをお勧め致しました。
しかしながら、孝之さんは遺言を作り直した方が良いかどうかと、2人の子に聞いて、その後に マサさんに病院での公正証書遺言の作成を提案しようと思っていましたが、なかなか2人とは 連絡が取れず、そうこうしているうちに3週間の月日が流れ、その間にマサさんの容態が 急変して亡くなってしまいました。
<この結果> この後、葬儀にやってきた子2人は、相続手続きをしている行政書士・司法書士に手続きを任せて、結局のところ、孝之さんには1円も財産は分配されない流れになるそうです。 当センターの無料相談に、再度、孝之さんは来られましたが、特別受益分など裁判所を通じて 主張する意思があるのであれば、弁護士の先生を紹介する旨を伝えましたが、孝之さんは 諦めるとの事でした。 マサさんの想いが実現されない結果となり、当センターとしても非常に残念に思いました。 このように、遺言のタイミングを失ってしまうと、6000万の財産を遺贈してもらえる立場から、 まったく何も残らないという立場にもなってしまう事もあります。
当センターでは、状況に応じてスピーディに対応させていただける用意がありますので、 お気軽に無料相談にお越し下さい。
こんな方は、事前に相談してください
・相続人が複数名いらっしゃって、遺産相続が心配な方(推定被相続人と同居の方は特に) ・相続人に養子や前妻の子など、直接的な面識の無い方がいる場合 ・病院にいる親族に遺言を書いておいてもらった方が良いと思われる方 ・遺産分割でもめないように、最低限の相続分を確保したい方
遺言書作成 関連項目
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当センターを運営しております行政書士事務所ちむくくる代表西山が「生前対策まるわかりBOOK」に沖縄の専門家として紹介されました。